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■『戦旗』1624号(11月5日)4面

 
2022岩国行動を全力で成功させよう
 改憲、大軍拡に突き進む岸田政権打倒
 
 
反戦反基地、反帝国際連帯の前進を!

                  政治運動指導委員会





 今年も岩国行動が、全国からの仲間と岩国をはじめとした基地地元で闘う人々の参加によって、山口県岩国現地で一一月二六・二七日(土・日)の二日間にわたって闘われる。
 岩国行動は、岩国市民が厚木基地からの艦載機移転の是非を問う住民投票に圧倒的なNOの意思表示をした二〇〇六年から、アジア共同行動(AWC)運動の重要な全国取り組みとして、毎年、岩国基地のある岩国市内で開催されてきた。
 岩国行動は、アジア共同行動日本連絡会議の主催で開催されてきた岩国国際連帯集会と、岩国・労働者反戦交流集会実行委員会の主催で開催されてきた岩国・労働者反戦交流集会とで構成される。岩国国際連帯集会は、毎年海外からAWCの各国・地域の仲間の参加を得て、侵略のための基地である岩国基地の撤去をアジア太平洋地域の民衆と連帯して実現する国際連帯として闘われてきた。岩国・労働者反戦交流集会は、岩国に心を寄せる労働組合・労働運動の立場から、侵略戦争への動員に反対するものとして闘われてきた。それぞれ今年で一七回目、一六回目の開催になる。数年にわたるコロナ禍でも、縮小することなく新しい参加者を増やしていこうと準備が進められている。
 昨年の2021岩国行動は、米軍の強襲揚陸艦「アメリカ」が岩国基地岸壁に初入港しているさなかに開催された。強襲揚陸艦は他国への侵略のための艦船だ。闘う岩国市民はこれを糾弾し、「アメリカ」が所属する佐世保米海軍基地の地元である佐世保や、辺野古新基地建設と闘う沖縄から直接参加しての報告や、わずか一週間前にミサイル弾薬搬入阻止闘争が闘われた宮古島からの生々しいリモート報告が行われた。また韓国THAAD配備撤回闘争を闘うソソン里の基地入り口の村道から米軍の陸上通行路確保に対する阻止闘争のビデオによる報告が届いた。岩国行動に先立って、陸自大演習が全国で繰り広げられ、2021岩国行動は、バイデン―岸田が推し進める対中国包囲網づくりと闘う岩国行動となった。
 今年も2022岩国行動の準備が各地で進んでいる。私たちもAWCを支えていく立場から、全国の仲間と連帯し、2022岩国行動をどのように闘うべきなのか、以下に提起したい。

●1章 日米帝の戦争準備と一体に拡大強化される岩国基地

 第一に、強化される日米軍事同盟のもと、今や米四軍(海兵隊、海軍、空軍、陸軍)の共同使用基地ともいえる在日米軍岩国基地を撤去する闘いとして闘うことである。
 岩国米軍基地は、米軍再編による厚木海軍基地の空母艦載機移駐によって航空機数で東アジア最大の航空基地となった。米海兵隊基地であると同時に米海軍基地となった。騒音被害の軽減を訴える住民の悲願を逆手に取った滑走路沖合移設がほぼ同時期に完成し、これにより、岩国基地は一・四倍の面積に拡張され、さらに在日米軍基地で唯一、滑走路に隣接する水深一三メートルの岸壁を持つ米軍にとって最も使い勝手のよい基地へと増強された。この時に、埋め立て用土砂を採掘した愛宕山跡地を、米軍、日本政府が一体となった詐欺ともいえる手口によって米軍住宅に転用した。一連の基地強化の過程は、初めから全部仕組まれていたのでは、と思わざるを得ないものだった。
 その上に、昨年秋以来、強襲揚陸艦をはじめとする大型米軍艦船の入港が相次いで開始され、今日まで続いている。さらに米海兵隊や米海軍の航空機だけではなく米空軍機が大々的に飛来して訓練や出動を行っている。臨時の入港や飛来にとどまらず、恒常的な利用によって拠点化されていこうとしていると地元の人々は怒っている。さらに報道によれば、今年に入って、岩国基地内にある一万バレルのタンク(三基)を解体し、五万バレルのタンク三基を新たに作る計画で、これによって五倍の備蓄量を持つようになる。またこれと併せて、中型のタンカーが着岸できる係留施設や燃料を降ろすことができる桟橋を基地南東部の港湾施設に設けるといい、米陸軍工兵隊日本地区(神奈川県・キャンプ座間)は、両施設とパイプラインなどの建設について、入札参加業者の市場調査を行い、一〇月以降に事業者を募集するとみられている。岩国基地は、今や米四軍が共同使用する基地として機能強化されようとしているのだ。
 岩国基地の強化はとどまるところを知らない。私たち日本の労働者人民は、今こそ日米安保条約の撤廃と在日米軍基地の撤去のために全国の支援を岩国へと集中していかなくてはならない時だろう。

●2章 爆音、犯罪、事故を許すな 被害住民と連帯して闘おう

 第二に、岩国基地強化で増大する基地被害に苦しむ現地の人々、そしてこれまでの米軍犯罪や事故のすべての被害者と連帯して闘うことである。
 米軍は岩国基地を「最も使い勝手のよい基地」と認識しているというが、それは市街地の中にあった岩国基地の戦闘機騒音被害と墜落事故の恐怖から、滑走路沖合一キロ地点に移設するという、岩国市民の「悲願」と言われた事業を逆手に取る形で悪用して実現されたものである。この沖合移設の直接のきっかけになったのは、一九六八年の板付空港の米軍機が九州大学に墜落した事故だったが、それより前に岩国でも米軍機の墜落事故が連続して起きている。岩国米軍基地の実証的・行動的な研究書である『女性史からみた岩国米軍基地』の著者・藤目ゆきさんの最新の研究「朝鮮戦争と岩国基地―国連軍の出撃と住民被害」(二〇二一年、『アジア現代女性史』第一四号)によれば、朝鮮戦争勃発後の日本国内で最初の大きな軍用機墜落事件は、一九五〇年九月二七日に岩国市で発生したものだという。朝鮮戦争の最初から最後まで爆撃を担当した米軍第三爆撃大隊のB26が岩国基地を離陸した直後にエンジンの故障で民家に墜落し、住民三名死亡、五名負傷という大惨事になった。遺族の証言による、その墜落事故現場のありさまは凄まじい。その後、朝鮮戦争期間に岩国基地を離発着した軍用機の搭乗員死亡事故は一〇件(全員死亡四件)あったという。朝鮮戦争の停戦からまもなく七〇年を迎える現在、滑走路が沖合一キロに移されたけれども、今日も岩国市街地の上空を、広島や隣接する地域の上空を、米軍機が飛行する。市民が強く抗議しても米軍はもちろん日本政府も無視している。岩国基地の戦闘機の訓練中の墜落事故は、各地で起こっているのに、市街地での墜落事故が起こらないと誰が断言できるだろうか。
 米軍は、岩国は「地元自治体の理解がある」というが、「基地との共存」を掲げる福田市政はどうやって生まれたのか。米軍再編―厚木艦載機移転を拒否した岩国市民の創意と井原市政を兵糧攻めにし、「こんなものは選挙ではない」と市民に言わしめた岩国市長選での自民党政権の総力をあげた露骨な選挙妨害によって作り出されたものだった。朝鮮戦争時期は言うまでもなく、二〇〇〇年以降も、二〇〇七年の広島事件をはじめとした岩国米兵によるレイプ事件が起こり、愛宕山米軍住宅建設反対運動の先頭に立ってきた地元の自治会長が米軍属の車両による事故で亡くなった。どれも日本の法廷で裁くことができなかったことも忘れてはならない。
 現在、岩国市民は「滑走路沖合移設前のレベルに戻った」と表現される激烈な騒音被害に苦しんでいる。そのような状況のもとで第二次岩国爆音訴訟の原告団が約四〇〇名となり米軍の飛行差し止めを求める闘いを開始しようとしている。私たちは、岩国の被害住民と連帯して、2022岩国行動を闘い抜こう。

●3章 全国の米軍基地、自衛隊基地強化反対 琉球弧の戦場化を許すな

 第三に、強化される全国の米軍基地、特に琉球弧で進む自衛隊攻撃部隊の配備強化に反対して共同の闘いを作ることである。
 昨年の2021岩国行動では、当時、岩国基地の岸壁に入港中だった強襲揚陸艦「アメリカ」が所属する長崎県の佐世保米海軍基地の地元から、岩国基地と連動して強化される佐世保米海軍・海上自衛隊基地の状況が報告された。それに続いて宮古島からの自衛隊ミサイル部隊配備に対する闘いのリモートでの報告も行われ、参加者の強い関心を引いた。なぜなら、そのわずか一週間前に、ミサイル・弾薬の宮古への搬入が強行され、軍用車両の前に体を投げ出して阻止しようとする住民たちの闘いが報告されたからだ。辺野古新基地建設阻止のための海上・陸上での抗議行動の沖縄からの報告と合わせて、九州から琉球弧全体にわたる日米の軍事基地の強化、それに対する反対運動の姿が共有された。
 アジア共同行動日本連は、例年岩国行動の一環として、全国反基地交流会を開催し、国内外から参加した基地地元で闘う人々の相互報告や、反基地運動の課題について実践的な交流の場を持ってきた。そこから萩・阿武のイージス・アショア反対運動と韓国のTHAAD配備撤回運動との交流が生まれたり、自衛隊基地反対運動を闘う住民と米軍基地反対運動を闘う住民の交流が実現したりした。コロナ禍で海外からの参加が制限される中、この二年は各地の反基地運動からの報告が国際連帯集会で行われてきたが、昨年の佐世保と宮古の闘いの報告から、今年四月に佐世保基地に関するオンライン学習会が開催され、一〇月には宮古島訪問団を送り出した。その地の軍事基地反対運動との交流から学ぶことは実に多いのだ(詳しいことは六面の報告にゆずりたい)。
 今年の岩国行動では、岩国現地と広島の報告に加えて、昨年の宮古に続き、馬毛島・奄美の自衛隊問題について地元からの報告が行われる。今年の防衛白書に収録されている「九州・南西地域における主要部隊新編状況(二〇一六年以降)(概念図)」(二〇二二年四月一日現在)によれば、中国に対する軍事的な包囲網として九州から琉球弧に至る自衛隊ミサイル部隊、電子戦部隊等の配備・配備計画が矢継ぎ早に進められてきたが、二〇二二年に至ってますます激化している。まだ計画段階である馬毛島への自衛隊基地建設問題での西之表市長の事実上の容認発言の裏でどれほどの圧力が働いているのか想像に難くない。軍事で平和は守れないという地元で闘う人々からの切実な訴えに応えて、全国から連帯の行動を強めて行かなくてはならない。2022岩国行動を、そのような闘いとして取り組んでいこう。

●4章 住民運動、反差別共同闘争の全国からの結集を

 第四に、基地強化と一体に進む原発推進、戦争体制づくりと闘い、これらの戦争体制を支える監視社会、差別排外主義の煽動と対決することである。
 以上に見てきたような岩国基地の大強化・対中国包囲網づくりと軌を一にして、岸田政権は原発の再稼動と六〇年運転への延長、小型原発などの新増設に向けて公然と舵を切った。ウクライナでの戦争を通じて、戦争時には原発が格好の攻撃目標になることが証明されたにもかかわらずだ。そのことは、福島事故の収拾がついていなかろうと、電気が足りていようと、核のごみの行き場がなかろうと、おかまいなしに原発を推進しようとする日本政府や財界の本音、つまり戦時体制づくりへの熱望を表している。反戦反基地・平和のための闘いと反原発の闘いがますます強く相互連帯していくことが必要だ。岩国行動の翌週一二月四日には関西での老朽原発反対の大集会も予定されている。連続した決起で闘おう。
 また、昨年成立した土地規制法が九月に全面施行され、年内にも最初の規制対象地域の指定が行われる見通しと報じられている。米軍Xバンドレーダー基地がおかれる経ケ岬からも警戒の声が上がっている。軍事基地や原発の地元で闘う人々の生活が監視され統制されていくような社会を絶対に許してはならない。
 さらに、昨年の岩国行動では、入管法改悪闘争に取り組む青年たちが連帯アピールを行った。戦争をする国づくりのために、入管法改悪が再度もくろまれ、差別と分断の強化による排外主義が強まっている。外国人に対する差別と抑圧は、国内における在日差別、部落差別、障害者差別、女性差別、セクシャルマイノリティに対する差別の強化と表裏一体だ。岩国行動は、私たちの日常にも深く浸透しているこのような差別と闘うものとして取り組まれてきた。そのような努力を通じて、強まる差別・排外主義と闘い、外国ルーツの仲間やセクシャルマイノリティの仲間、被差別民衆とともに闘う岩国行動を一緒に作って行こう。

●5章 ウクライナ侵略戦争反対 今こそ国際連帯の実践を

 最後に、アジア民衆と連帯して岩国基地を撤去するための闘いを岩国現地・全国を貫いて作り出そう。
 今年二月に勃発したロシアのウクライナ軍事侵攻に始まる事態は、その背景にNATOの東方拡大があった。私たちはロシアのウクライナ侵略戦争を弾劾するとともに、米・欧の帝国主義による覇権拡大を糾弾した。軍事同盟が安全や平和を守るものではなく、戦争をもたらすものであることが明白になった。軍事同盟によって利益を得る者と、その犠牲になる者との対比がくっきりと示された。にもかかわらず、ロシアの軍事侵攻が始まるや、これを「待ってました」とばかりに利用した日米帝国主義は、アジアにおいては「台湾有事」を叫んで日米軍事同盟の強化を推し進めている。またそれぞれの帝国主義の思惑とからんでクアッドなど地域的な同盟の再編が進んでいる。現在、多くの日本の民衆が、そのような宣伝にからめとられているように見える。しかし、安倍の国葬問題での多くの労働者・民衆の怒りの決起を見ても、いつまでも真実をごまかしていけるものではない。
 アジア民衆はこれらの欺瞞を暴露する。今年の六月アジア共同行動各地集会に連帯メッセージを送った台湾の労働人権協会は、「現在、台湾海峡の緊張が注目されています。しかし、この一〇年ほどの台湾海峡情勢の進展を見ると、台湾海峡の緊張の高まりは、中国大陸の軍事力の増大によるものではなく、二〇一六年に総統に就任した民進党の蔡英文が『一つの中国』原則という両岸の共通認識を一方的に破壊したことに起因していることが分かります。(中略)両岸関係の緊張が高まるのも当然です。さらに重要なことは、トランプ大統領就任後、米国が貿易戦争を仕掛けて中国との対立を激化させるだけでなく、台湾を積極的に駒として使い、大陸の『一つの中国』原則を挑発して米中対立を高めてきたことです。これが、現在の台湾海峡危機の根本原因です」と明確に提起した。台湾の民衆は、「最後に強調したいのは、台湾海峡問題への帝国主義の介入は、台湾海峡危機を生み出すだけだということです。平和を口実にした介入は不条理極まりないものです。いかなる国であれ、心から台湾海峡の平和を望むなら、台湾海峡問題への介入を控え、帝国主義の介入に反対するべきです。台湾海峡両岸の問題は、両岸が自主の原則を守る限り、必ずや平和的解決の方法を見出すことができるでしょう。全世界の労働者は帝国主義に反対して団結して立ち上がろう!」と訴えた。
 また、アジア共同行動日本連の八月反戦夏季合宿にリモートで参加した韓国の活動家は、THAAD撤去闘争を最前線で闘う立場から、「現在、韓・米・日の軍事協力、ひいては韓・米・日の三角軍事同盟の構築は、すでに多くの合同軍事演習を通じて完成しつつある段階であり、このようにして完成した韓米日三角軍事同盟は、朝・中・ロの急速な軍事的結束をもたらし、結局のところ韓・米・日と朝・中・ロが鋭く対峙し、恒常的な緊張状態、戦争状態を招くことになるでしょう。この地域の利害関係がかかっている多くの国々は、それぞれの利益を追求し、軍事衝突も辞さないかのような構えさえ見せています。私たちの地域で強大国の軍事的な衝突危機がいつになく高まっている今この時、私たちの声と行動がより切実に求められています」と訴えた。
 このようなアジア民衆の訴えに応え、国際連帯の実践として2022岩国行動を成功させていこう!

 


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